Tips/FAQ
[Q-01] OpenFOAM®の解析対象は何ですか。
[A-01] OpenFOAM®は流体や弾性体、電磁流体などを含む「連続体」を主な解析対象としています。また、金融工学などの分野にも適用できます。
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[Q-02] OpenFOAM®パッケージではどのような機能が提供されるのでしょうか。
[A-02] OpenFOAM®パッケージは大きく分けて以下のような内容となっています。
(1) 偏微分方程式を自動的に離散化し、ハイパフォーマンスな解析ソルバーを効率よく開発するためのプログラミング言語としてのOpenFOAM®。
(2) OpenFOAM®によって開発された多数の標準アプリケーション。
(3) アプリケーション開発を支援する多数の標準ライブラリ、これらには輸送特性、熱物性などのデータベース、乱流/LESモデル、分散モデルなどモデルライブラリなども含まれます。
(4) プリ/ポストおよびユーティリティツール。
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[Q-03] OpenFOAM®が他の商用CFDパッケージと異なる点は何ですか。
OpenFOAM®を選んだユーザはどのような利益を得られるのでしょうか。
[A-03] 一般の商用CFDパッケージ等は特定の範囲の解析対象について供給元が作成したアプリケーション(実行形式プログラム)のみで提供されています。ユーザはそのアプリケーションが対象とする範囲でしか使用できません。中にはいくつかのサブルーチンをカスタマイズできるようにしてあるものもありますが、それでもユーザがカスタマイズできる範囲は限られています。それに対しOpenFOAM®はプログラミング環境をベースに提供されますので、作成されるアプリケーションに制限はありません。
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[Q-04] OpenFOAM®はどのような環境で使用できますか。
[A-04] OS:unix, Linux、 C++コンパイラ:gcc3.0.4、 JAVA:JDK1.3.1、 MPI:mpich
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[Q-05] 並列計算に対応していますか。
[A-05] 対応しています。OpenFOAM®はMPIライブラリをサポートしています。並列化の手続きは単純なコマンドに集約されており簡単に実行することができます。
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[Q-06] OpenFOAM®のライセンス形態はどのようになっていますか。
[A-06] GNU/GPLです。
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[Q-07] OpenFOAM®で作成したアプリケーションは他の計算機で使用できますか。
[A-07] OpenFOAM®で作成したアプリケーションの実行形式はOpenFOAM®が稼動する計算機環境で実行可能です。
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[Q-08] OpenFOAM®を購入するとどのようなサポートを受けられますか。
[A-08] 有償にて
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1. | 入門セミナー インストール方法、ファイル構造、操作方法、 例題実習、Helyx-OS, ParaView |
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2. | 年間サポート契約 e-mailによる問い合わせサービス |
3. | アプリケーション開発 |
4. | 受託解析 |
[Q-09] OpenFOAM®にはどのようなマニュアルがあるのでしょうか。
[A-09] OpenFOAM®の主要なマニュアル(インストールガイド、ユーザーガイド、プログラマーズガイド)はウェブ上に公開されています。また、Doxygen/ C++クラスライブラリマニュアルもあります。
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[Q-10] OpenFOAM®のユーザフォーラムはありますか。
[A-10]いくつかのグループが活発な活動を行っています。日本にはオープンCAE学会があります。また、新しい取組としては、http://wiki.openfoam.comサイトがあります。
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[Q-11] どのような計算メッシュに対応していますか。
[A-11] OpenFOAM®は任意の多角形、またはそれらの混在する形で定義された非構造セルに対応しています。非常に柔軟性のあるメッシュデータ構造を採用していますので、複雑なモデル、形状の変化(移動・運動)、アダプティブ・メッシュ、2面性のあるメッシュ(流体と輻射など)に精度良く対応します。また、商用CFD(Fluent,
StarCD, CFX,Kivaなど)データのコンバータも付属しています。
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[Q-12] 形状作成、およびメッシュ生成はどのように行いますか。
[A-12]OpenFOAM®には六面体メッシュを作成するblockMeshと複雑な形状に対応するsnappyHexMeshがあります。また、外部メッシャーのコンバータも付属しています。また、幾つかの商用メッシャーにはOpenFOAM®フォーマットへの出力機能があります。
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[Q-13] 外部から形状データを取り込みたいのですが。
[A-13]
上記コンバータを用意しています。
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コンバータ | 対応製品 | 読込ファイル |
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FluentMeshToFoam | Fluent | .msh形式のメッシュファイル、 2-Dと3-D両形式に対応 |
StarToFoam | STAR-CD | proAMメッシュファイル |
smapToFoam | STAR-CD | SMAPデータファイル |
gambitToFoam | GAMBIT | .neu形式のニュートラルファイル |
ideasToFoam | I-DEAS | I-DEASからANSYS入力用に 書き出された.ans形式のメッシュファイル |
CfxToFoam | CFX | .geo形式のメッシュファイル |
KIVA-3V | kiva3vのメッシュファイル |
[Q-14] 移動メッシュ、解適合メッシュは使用できますか。
[A-14]
●移動メッシュ
OpenFOAM®には移動メッシュライブラリが用意されており、解や時間の変化に応じて計算領域が変形する問題も解くことができます。OpenFOAM®の「移動メッシュ有限体積法」はメッシュの移動は解の一部として自動的に計算します。通常の商用CFDパッケージでは、移動メッシュは全ての格子点の座標について、計算ステップ毎に何らかの方法で定義する必要があります。これに対しOpenFOAM®で採用している方法は、メッシュの移動を境界あるいは、その一部の移動によって定義します。それにより、メッシュ内の全ての点の移動は計算コード自身によって自動的に計算することができます。また、移動メッシュはすべてのOpenFOAM®アプリケーションに簡単に埋め込むことができます。それはOpenFOAM®のFV離散化オペレータが移動メッシュに伴う、より複雑な離散化を包含しているからです。
●解適合メッシュ
OpenFOAM®ではいくつかの信頼できる後天的な誤差見積りのユーティリティが提供されており、簡単に使用できます。誤差を見積ることでユーザが解やメッシュの品質を向上させることが可能になります。このオプションによりOpenFOAM®ライブラリでサポートしているメッシュの順応性を向上させることができます。OpenFOAM®で提供されている誤差見積りのユーティリティを次に示します。
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icoErrorEstimate | 非圧縮層流CFDアプリケーション icoFoamでの誤差を見積る |
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EstimateScalarError | 標準形式でのスカラー輸送方程式の誤差を見積る |
[Q-15] 解析の設定をおこなうGUI環境について教えてください。
[A-15] OpenFOAM®にはGUIは付属していませんが、Helyx-OS、DEXCSなどを利用することにより操作が簡素化できます。
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[Q-16] 境界条件の設定はどのように行うのですか。
[A-16] OpenFOAM®の境界条件設定、および他のメッシャ―での境界条件設定の読み込み(データ形式によっては、不可のものもあります。)が可能です。
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[Q-17] 他の商用CFDパッケージとのインターフェースについて教えてください。
[A-17]
この他のCFDパッケージ、プリ・プロセッサとのインターフェイスに関しては、お問合せください。
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コンバータ | 対応製品 | 読込ファイル |
---|---|---|
FluentMeshToFoam | Fluent | .msh形式のメッシュファイル、 2-Dと3-D両形式に対応 |
StarToFoam | STAR-CD | proAMメッシュファイル |
smapToFoam | STAR-CD | SMAPデータファイル |
gambitToFoam | GAMBIT | .neu形式のニュートラルファイル |
ideasToFoam | I-DEAS | I-DEASからANSYS入力用に書き出された .ans形式のメッシュファイル |
CfxToFoam | CFX | .geo形式のメッシュファイル |
kivaToFoam | KIVA-3V | kiva3vのメッシュファイル |
[Q-18] 計算結果のポストプロセスツールはどのようなものが用意されていますか。
[A-18]VTK仕様のParaViewで可視化できます。その他にEnSight、FIELDVIEWなどのポストプロセッサのデータ形式へ変換するためのコンバータが用意されています。
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[Q-19] OpenFOAM®の計算結果を他のポストプロセッサに読込ませたいのですが。
[A-19]
この他に、FIELDVIEWにも対応可能です。その他のプログラムに関しては、お問合せください。
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foamDataToFluent | OpenFOAM®データをFluent形式へ変換する |
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foamMeshToFluent | OpenFOAM®メッシュをFluentメッシュへ変換する |
foamToEnsight | OpenFOAM®データをEnSight形式へ変換する |
Qgraph | グラフ作製プログラム |
[Q-20] どのようなアプリケーションが用意されていますか。
[A-20] OpenFOAM®流体、熱伝導、圧縮性流れ、DNS/LES乱流、燃焼、多相流等のCFD解析やMD、応力解析、電磁界解析、金融工学のアプリケーションが付属しています。
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[Q-21] どのような乱流モデルがありますか。
[A-21] OpenFOAM®には、K-ε、RNG、非線形Shih、低レイノルズ、LES、Smagorinsky、スペクトル渦粘性、LRR応力、Deardorff応力、一般化SGS応力、Spalart-Allmarasモデルなどが組み込まれています。
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[Q-22] どのような燃焼モデルがありますか。
[A-22]
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燃焼モデル— combustionThermophysicalModels | |
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hThermo | 燃焼混合気のエンタルピーを求める |
hhuThermo | 未燃ガスと燃焼混合気のエンタルピーを求める |
homogeneousMixture | 正規化された燃料質量分率bによる燃焼混合気モデル |
inhomogeneousMixture | bと全燃料質量分率ftによる燃焼混合気モデル |
veryInhomogeneousMixture | b、ftおよび未燃燃料質量分率fuによる燃焼混合気モデル |
dieselMixture | ftおよびfuによる燃焼混合気モデル |
層流火炎速度モデル–laminarFlameSpeedModels | |
constLaminarFlameSpeed | 一定層流火炎速度モデル |
guldersLaminarFlameSpeed | Gulder層流火炎速度モデル |
燃焼アプリケーション | |
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dieselFoam | ディーゼル燃焼モデリングの研究用コード. |
engineFoam | SIエンジン用コード. |
圧縮性予混合/部分的予混合乱流燃焼コード. | |
Xoodles | 圧縮性予混合/部分的予混合乱流燃焼 LESコード. |
[Q-23] どのような分散モデルがありますか。
[A-23] OpenFOAM®には、ラグランジュ粒子追跡モデルが用意されており混相流の解析などに用いることができます。基本的なモデルでは、オイラー的な相とのカップリングおよび追跡を提供しているので、スプレーやその他の混相モデルを簡単に実装することができます。また、分裂、衝突、蒸発などのモデルが用意されています。
OpenFOAM®のオープンアーキテクチャによりユーザ作成のモデルを自由に組み込むことができます。
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[Q-24] どのような物性データベースが使用できますか。
[A-24]
などがあります。
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基本熱物性モデル— basicThermophysicalModels | |
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エンタルピーを基にした一般熱物性モデル | |
pureMixture | 不活性ガス混合の一般熱物性モデル |
液体の熱物性モデル liquids | |
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nHeptane | nHeptaneの熱物性モデル |
nOctane | nOctanの熱物性モデル |
nDecane | nDecaneの熱物性モデル |
nDodecane | nDodecaneの熱物性モデル |
isoOctane | isoOctaneの熱物性モデル |
diMethylEther | diMethylEtherの熱物性モデル |
diEthylEther | diEthylEtherの熱物性モデル |
water | 水の熱物性モデル |
気体の熱物性モデル specie | |
perfectGas> | 完全気体の状態方程式 |
const | 一定の輸送特性 |
sutherland | Sutherland則による熱依存の輸送特性 |
eThermo | 一定の熱物性 |
hThermo | 一定の熱物性 |
janaf | JANAF表による熱物性 |
specieThermo | 近似関数による熱物性 |
Reaction | 平衡反応のspecieThermoの拡張、 反応速度を扱う |
熱物性の関数/表— thermophysicalFunctions | |
NSRDSfunctions | National Standard Reference Data System (NSRDS) – American Institute of Chemical Engineers (AICHE) data |
APIfunctions | American Petroleum Institute (API) による蒸発の物質拡散関数 |
[Q-25] 流体解析以外の応用例について教えてください。
[A-25]
などがあります。
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Stress analysis応力解析 | |
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stressedFoam> | 線形弾性体の応力解析コード. |
contactStressFoam |
Electromagnetics電磁流体 | |
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mhdFoam | 非圧縮性層流電磁流体コード. |
electrostaticFoam | 静電方程式コード. |
Finance金融工学 | |
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financialFoam | Black-Scholes方程式を解き商品価格を求める. |
[Q-26] OpenFOAM®では微分方程式をどのように離散化しますか。
[A-26] OpenFOAM®は複数の偏微分方程式(PDE)で記述された工学的問題を解くためのプログラミングツールです。OpenFOAM®はPDEを時系列3次元の任意形状セルによる非構造メッシュで離散化するために、有限体積法(FV)を用いています。
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[Q-27] どのような離散化スキームが用意されているのでしょうか。
[A-27] OpenFOAM®では多種の離散化スキームを提供しています。これらはFoamXのGUI上で方程式の項別に選択して解くことができるので、計算の精度(2次および4次)、有解性、保存性などの全てについて実行時に制御することが可能です。また、方程式にカップリングしたアルゴリズム(PISO、SIMPLEなど)は、アプリケーションのトップレベル・コードの中で記述されています。(OpenFOAM®パッケージにはライブラリ、アプリケーションのソースコードが含まれていますので、専用アプリケーションを開発する際の参考として使用できます。)
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[Q-28] なぜ科学技術計算にオブジェクト指向プログラミングが必要なのですか。
[A-28] 下記の需要が、2000年代に入り、益々増加していることにより、金融、通信の大規模プログラムだけでなく、科学技術計算分野においても、サブルーチン・手続き型の言語からオブジェクト指向プログラミングの必要性が増しています。
●複合的解析ソルバーの需要>>>連成問題などに、検証されたオブジェクト・ソルバーの組み合わせ対応ができる。(流体構造、流体電磁・・・)
●大規模問題>>>容易にパラレル化が可能:メッシング、計算を分散化:クラスター・コンピュータ、HPCの普及
●アプリケーション開発のスピードとメンテナンス問題>>>GUI、可視化との連動、頻繁のバージョンアップ、一人のプログラマーではなく多数のプログラマーによるソルバー開発、高度なエラーチェック、プログラム保守管理の容易性
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[Q-29] なぜOpenFOAM®ではプログラミング言語をC++としたのですか。
[A-29] C++の移植性、開発効率、並列計算適応性、エラーチェック、実行モジュールのスピードによります。
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[Q-30] 私はFORTRANユーザで、C++を使ったことがありませんが・・・
[A-30] 先ず、オブジェクト指向言語でのプログラミングの考え方を学習してください。FORTRANやC言語でのCFDアプリケーション、ソルバー開発経験のある方でしたら、むしろ、C++での開発効率の優位性を直ぐにご理解いただけると思います。また、ご自身の開発したプログラムをC++でオブジェクト化することの将来に対するメリットを感じていただけるものと思います。
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[Q-31] 以前C++で生成したコードはFORTRANが出力したコードよりも遅いと聞いたことがあるのですが本当ですか。
[A-31] 80年代後半、C++の出始めの頃のコンパイラーによる実効モジュールは確かに遅いものがありました。しかし、現在はコンパイラーの性能があがり、FORTRANやC言語の実行モジュールと比べても遜色ないものになっております。
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[Q-32] OpenFOAM®は微分方程式を数学的な表現のままプログラミングすることを可能にしているようですが、そのような機能はMathematicaなどの数式処理ソフトでも可能です。両者の違いは何ですか。
[A-32] Mathematicaや所謂PDEソルバーとの違いは、OpenFOAM®は開発当初より、CFDおよびCCM(連続体)のソルバーとプリ・ポストのために開発されたソフトウェアであるという処です。CFD/CCM用の最新の研究成果を取り入れた、ライブラリー、アプリケーション、ユーティリティの豊富さと実用性が他のソフトウェアとの違いです。
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[Q-33] OpenFOAM®およびOpenFOAM® C++クラスライブラリを用いて作成したアプリケーションコードの著作権はどのようになるのでしょうか。
[A-33] GNU/GPLに準拠します。
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