拡がるAbaqusの世界
軽量化、快適性を求められる自動車業界、耐久性、治験期間の短縮化が求められる医療業界など、複合材、マルチフィジックス、破壊解析、疲労解析などのリアリスティックな解析がテーマになる分野のソリューションとして、2014年秋にリリースされたAbaqus Extendedライセンスは、このような顧客ニーズにマッチする柔軟な解析、最適設計支援環境を提供することができるものだ。
医療分野では
課題- 複雑な材料としての生体をモデル化するための材料構成則が必須
- 血流解析の流体構造連成解析、大規模モデルの計算時間低減
- 耐久性、安全性検証
- シミュレーション活用による治験期間の短縮
- 解決策:解析の自動化による膨大なパラメータスタディ作業軽減
- 疲労解析による耐久性、安全性検証
- 人体への負担を軽減する医療器具の軽量化 を可能にすることができる。また、CAEソリューションズでは、Abaqus Extendedライセンスの導入・運用支援、計算環境としてのHPC環境構築なども併せて支援することが可能だ。
自動車OEMを支えるエンジニアリング分野では
課題- OEMから委託される解析課題の高度化と納期短縮
- 解決策:解析自動化によるマルチジョブ化
- 軽量化・耐久性の検証
Abaqus Extendedライセンスについて
3Dエクスペリエンスをビジョンとして掲げる仏ダッソー・システムズは設計者と解析専任者の垣根を取払い、真にシミュレーション技術を活かした各産業分野向けの設計環境をユーザに提供している。解析エンジンとしてのAbaqusの適用範囲も最近リリースされたAbaqus Extendedライセンスにより広がりつつある。ユーザは以下の3種類のツールがAbaqusのライセンスと共用で利用できることにより、別のライセンス契約をせずに自由に必要な機能を利用することができるようになった。- 解析ワークフローの自動化と最適化ツールIsight
- 軽量化設計に欠かせないトポロジー最適化ツールTOSCA
- 塑性領域、ひずみ疲労なども考慮する高度な製品寿命予測ツールfe-safe
CAEソリューションズとAbaqus
Abaqus![]() | 1965年 | 英国ケンブリッジ大学機械科学卒 |
1972年 | 英国ケンブリッジ大学院工学博士 | |
1972年 | MARC社入社 | |
1978年 | Habbitt,Karlsson & Sorensen,Inc.(HKS、現在のABAQUS,Inc.)設立 2000年7月~、会長職に専念。 | |
1993年 | 米機会学会応用力学部門賞受賞。 | |
1997年 | ブラウン大学工学部卒業生メダル受賞。 |
fe-safe
金属材料の疲労寿命解析ソフトウェアとして発展して来たfe-safeは、耐久性の設計に関するテクニカルリーダーとして、初めて多軸ひずみ法を導入した商用ソフトである。自動車、重機、心臓弁、ステント、エンジン、原子力プラント、風車の翼、スマホなど広範囲な製品の寿命予測検証に利用されている。疲労解析のキーとなる材料データベースも豊富で、ひずみライフと応力ライフの特性を含む 350 以上の材料、鋳鉄のひずみライフの AFS データベース、また、ユーザ定義の材料データ追加も可能だ。
TOSCA
トポロジー (位相) 最適化で有名なTOSCAは、革新的な軽量設計のための形状案の創出、形状最適化、耐久性や強度を改善する設計案の生成、強度向上や騒音低減のためのビード設計案の提案、板厚最適化による静特性/動特性の向上を目的としたソフトウェアだ。トポロジー最適化は決められた設計空間内での最適形状を導くことが可能だ。設計変数を相対的な材料密度とし、密度を変更して,最適な材料分布を求めたり、剛性,固有振動数,変位,反力などを改善したりすることができる。
Isight
トsightがソフトウェアロボットと呼ばれる所以は、その豊富な自動処理機能にある。設計期間短縮の要望に如何に応えるかが重要な課題の設計部門にとって、繰り返し作業からの開放、人為ミスの撲滅、複数マシンでのプログラムの並列実行が可能になるIsightの役目は重要なものだ。その結果、設計の質の向上、最適設計、材料特性,荷重,公差の変動を考慮した設計、実験結果と解析結果の合わせ込みが設計の早い段階で可能になる。その副産物として、設計方法の理解向上、解析フローの標準化,見える化,共有化、設計変数の寄与度の把握、複数の設計目的間のトレードオフの把握が実現できる優れもののツールである。
関連製品
