第5回 OpenFOAM®User Conference 2017レポート
第5回OpenFOAM® User Conference 2017がドイツ、ヴィースバーデンで2017/10/17-19開催され、発表者、展示関係者含め約170名の参加があり、基調講演を含め46のセッションがESIスタッフ運営のもと恙なく行われた。今回は風上差分研究の権威、現ミシガン大学教授フィリップ・ロー博士による当該研究の過去と未来について、そして、アテネ国立工科大学教授キリアコス・ギアナコグロ博士による連続随伴(コンティニュアス・アジョイント)最適化法の最新研究と応用についての基調講演から開始された。一日目
基調講演に続き、ESIマイクより、ESIの近況とScilabをレパートリに追加したオープンソースプログラムの取り組みについて発表があった。午後の部では最適化、プロセス系と混相流、空力関連のコースに分かれ計16セッションが行われた。
参加セッション:グッドイヤー社ギレス、複雑なタイヤ成形機シミュレーション事例、具体的で興味深かった。アテネ大エバンゲロス、自動車空力改善のためのアジョイント法。熱荷重によるアジョイント法。ミンホ大ミゲル、粘弾性流れ新カップルドソルバ開発。IHカンタブリア、ガブリエル、海洋波境界条件開発と事例紹介。ヘルムホルツ-ゼントラム、ロナルド、気泡流れの取り組み。ダルムスタッド工科大、チアラ、単一上昇気泡流れ研究。ロッシェ、クナル、試験管振動による液体スロッシング現象。

二日目
基調講演の最初はジュリッヒ研究センター、スティファン・ビール教授による燃料電池に関するOpenFOAM®活用事例発表があった。続いてお馴染みのFMグローバル、カール・メレディスより、FireFOAMによる実用的消火シミュレーションに関する研究成果の発表があった。実験とシミュレーション動画を交えた内容は判り易く説得力があった。午後はエンジン燃焼、熱・熱交換、OpenFOAM®技術、メッシングとプロセス制御、風力・環境の5コース、計24セッションの発表があった。
参加セッション:WIKKI、 Hrv、 Finite Area Method。Algonee Ltd.、 Mattijs、 Pluggable I/O。ロストック大、ヨハン、熱交換器の表面形状解析。CFD ENGINE、 ロビン、Talking CFD。エディンバーグ大、マシュー、マイクロ/ナノ流れ。ARUP、 ジェイク、光学バイオリアクタ流れ。ESI-OpenCFD、 マタイス、メッシュハンドリング(重合格子拡張、ダイナミックメッシュ)

三日目
Tips&Tricks、Meshing-Tech、VisualCFDコースに分かれ技術研修が行われた。
会場:
ヴィースバーデン、ドリントホテルはフランクフルト空港から22kmの所にある落ち着いた環境の会場だった。

ENGYS社
HELYX v3.0の新機能やAdjoint、そして、開発中のGIBをブース展示していた。セッション発表では新メンバのダニエルより、DNSによる気泡流れの研究発表、ユージンより、GIBによる路面接触変形考慮を含む回転車輪モデルの発表が行われた。
感想
昨年のオープンな流れの追及と主催者のビジネス性の落としどころが少し不明朗になって来ているような印象が感じられた。展示のサードベンダも「利用」と「貢献」の合間で揺れているようだ。「貢献」を利用するだけの流れは断ち切り、フレッドが継続でき、且つ、古い仲間を呼び戻せる場になることを期待する。尚、遠方ということもあり、日本からの参加は自動車OEM、家電メーカーから各1名、ESI日本OpenFOAM®担当者と私のみのようであった。
謝辞・後記
当社ではOpenFOAM®をベースにしたビジネスは堅調に推移している。適正な利益は確保しつつ、CCM/CFDプラットフォームとしてのOpenFOAM®利用を推進していきたいと思う。そのためには「オープンマインド」は常日頃忘れないようにしていきたい。末筆ながら、不在時にご助力いただいた皆様に感謝を述べさせていただきたいと思う。関連製品


