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Technical information (Column)技術情報(解析コラム)

2025.05.20

避難・人流シミュレーションソフトウェア「Pathfinder」の紹介

弊社は、4月16~18日にインテックス大阪で開催されました防犯防災総合展2025において、火災シミュレーションソフトウェア「PyroSim」、および避難・人流シミュレーションソフトウェア「Pathfinder」を紹介するブースを出展いたしました。
同時開催として、バリアフリー2025、慢性期医療展2025、看護未来展2025も開催され、3日間合計の来場者数は、62,520人に上ったとのことです(主催者発表)。
弊社ブースにも多くの方にお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
今月のコラムでは、改めて避難・人流シミュレーションソフトウェア「Pathfinder」のご紹介をいたします。

多くの人々が行き交う、駅、空港、商業施設、スタジアムなどの公共空間における安全性と効率性は利用者にとっても非常に重要な要素です。
Thunderhead Engineering 社が開発する歩行者シミュレーションソフトウェア「Pathfinder」は、複雑な建物や通路等における人々の動きを詳細に再現し、避難経路の評価、混雑状況の分析、施設設計の最適化など、多岐にわたる用途に活用することができます。スムーズな人の流れを実現して群衆事故の悲劇を繰り返さないためにもシミュレーションは大きな助けとなります。

複雑なジオメトリへの対応とインポート機能
Pathfinderの強力な機能の一つに、複雑な建物構造や環境を忠実に再現できるジオメトリ編集機能があります。CAD形状やBIM(Building Information Modeling)データなどの既存の設計データをインポートし、それをベースにシミュレーションモデルを構築することができます。これにより、手作業で複雑な形状を入力する手間が省け、時間と労力を大幅に削減できます。
インポートされたジオメトリは、Pathfinderの直感的なインターフェースで編集することも可能です。壁やドア、階段、エスカレーターといった建築要素を簡単に追加・修正したり、関係者(一部の歩行者)しか通行できないエリアを設定したりすることができます。また、シミュレーション結果の可視化のために、テクスチャや色を設定することも可能です。
この高度なジオメトリ機能により、現実の建物や施設を極めて忠実に再現したシミュレーションモデルを構築することができ、より信頼性の高い結果を得ることが可能になります。

多様なエージェント設定と属性
Pathfinderでは、シミュレーションに含める歩行者(エージェント)の属性を細かく設定することができます。速度、加速度、反応時間といった基本的な移動特性はもちろんのこと、身体の大きさ、特定の行動パターン(例えば、特定の場所に立ち止まる、エスカレーターで右側に立つ)、さらにはソーシャルディスタンスを保つかどうか等、多岐に渡る設定が可能です。
また、エージェントをグループ化し、グループごとに異なる属性や行動ルールを適用することもできます。これにより、年齢層や身体能力の異なる人々、車椅子をお使いの方が混在する状況や、家族連れや団体行動といった特定の集団の動きを再現することができます。
さらに、イベントトリガーを設定することで、特定の条件(例えば、火災発生のアラーム、特定の場所への到達など)を満たすことで、エージェントの行動を変化させることができます。これにより、複雑で現実的なシナリオに基づいたシミュレーションが可能になります。

強力な分析機能と可視化
Pathfinderは、シミュレーション結果を詳細に分析するための強力なツールを提供します。歩行者の軌跡、速度、密度、特定の場所への滞在時間など、様々な指標を数値データとして出力することができます。これらのデータは、グラフで表示することができ、視覚的に分かりやすく分析結果を把握することが可能です。
また、シミュレーションの進行を3Dアニメーションとして再生することで、群衆の動きを視覚的に確認することができます。混雑が発生している場所や、避難のボトルネックとなっている箇所などを一目で把握することができ、問題点の発見や改善検討に役立ちます。
さらに、特定の時点での群衆密度分布をカラーマップで表示したり、特定の歩行者の動きを追跡したりする機能も備わっています。これらの可視化機能は、専門家だけでなく、設計者や管理者といった非専門家にとっても、シミュレーション結果を理解するうえで非常に有効です。

結果のエクスポートと連携
Pathfinderで得られたシミュレーション結果は、様々な形式でエクスポートすることができます。数値データはCSV形式で出力され、表計算ソフトなどで詳細な分析を行うことができます。また、アニメーションやグラフは、レポートやプレゼンテーション資料として活用できる形式で出力することが可能です。
さらに、Pathfinderは他のソフトウェアとの連携機能も備えています。避難シミュレーションの結果を火災シミュレーションソフトウェアと連携させることで、より総合的な安全評価を行うことも可能です。

広がる活用事例:安全・安心な社会の実現に向けて
Pathfinderの高度なシミュレーション能力は、様々な分野で活用でき、安全性と効率性の改善に繋げることができます。

1. 建築・防災分野:
火災や地震などの緊急時における避難シミュレーションは、Pathfinderの主要な用途の一つです。建物の設計段階で避難経路のボトルネックを特定し、適切な避難誘導計画を策定することで、人命救助に大きく貢献します。例えば、高層ビルや地下街といった複雑な構造を持つ建物において、避難時間の予測、避難経路の最適化、避難誘導サインの効果検証などに活用することができます。

2. 交通インフラ分野:
駅や空港などの交通ターミナルにおける乗降客の流れをシミュレーションすることで、混雑緩和策や動線改善に役立てることができます。例えば、新駅の設計時にコンコースやホームの適切な広さを決定したり、イベント開催時の臨時動線の有効性を評価したりすることができます。スムーズな人の流れは、利用者の利便性向上だけでなく、事故のリスク低減にも繋がります。​​​​​​​

3. イベント・エンターテイメント分野:
大規模なコンサート会場やテーマパークなどにおける観客の動きをシミュレーションすることで、安全なイベント運営を支援します。入場・退場時の混雑状況の予測、緊急時の避難計画の策定、警備員の配置最適化などに活用することができます。これにより、来場者が安全かつ快適にイベントを楽しめる環境づくりに貢献します。​​​​​​​

まとめ
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Pathfinderは、高度な歩行モデルに加え、複雑なジオメトリへの対応、多様なエージェント設定、強力な分析・可視化機能、そして外部ツールとの連携機能など、多岐にわたる機能を提供することで、群衆シミュレーションの可能性を大きく広げています。これらの機能を活用することで、現実世界に近い、より詳細で信頼性の高いシミュレーションを実施し、安全性と効率性の改善に繋げることができます。

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