CFD高速化のその先へ|1D–3D連携による熱設計とは?
昨年のコラムでも紹介されているように、流体解析(CFD)は、コンピュータにかかる計算負荷が非常に大きい解析分野の一つです。メッシュ数や物理モデルによっては、数時間から数日、場合によっては数週間の計算時間を要することもあります。そのため、解析担当者は、形状の簡略化やメッシュ設定の最適化、ソルバ設定の調整をはじめとした様々な方法で計算時間の短縮を図ります。
しかし、CFDを活用する上では、単なる「計算時間の短縮」だけでなく、設計プロセスの中でCFDをどのように活用するかという視点も必要になってきています。
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エレクトロニクス設計における熱課題
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近年の電子機器では、高性能化と小型化が同時に進んでいます。その結果、製品開発において熱設計(Thermal Design)の重要性はますます高まっています。
例えば以下のような課題です。
・電子基板の発熱密度の増加
・ヒートシンクや筐体による冷却設計
・ファンを含む冷却システムの検討
・筐体内部の空気流動の最適化
これらの問題では、単一部品の検討だけでなく、システム全体の熱挙動を理解する必要があります。
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1D解析と3D CFDの役割
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システムレベルの検討では、1D解析が利用されることがあります。
1D解析では配管や機器をネットワークとしてモデル化することで、比較的短時間でシステム全体の挙動を評価できます。 -
一方で、電子機器内部の熱流体現象は非常に複雑です。例えば
・ヒートシンク周囲の流れ
・基板上の部品配置による温度分布
・筐体内部の自然対流
・局所的な熱だまり
といった現象は、3D解析でなければ正確に評価することができません。
そのため、システムレベルの検討と局所現象の解析では、次のような役割分担が行われることがあります。
そのため、システムレベルの検討と局所現象の解析では、次のような役割分担が行われることがあります。
| 解析手法 | 主な役割 |
|---|---|
| 1D解析 | システム全体の挙動 |
| 3D解析 | 局所的な熱流体現象 |
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設計者CFDという考え方
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CFDは非常に自由度の高い解析手法であり、詳細な現象解析に利用されてきました。一方、電子機器の熱設計では設計初期段階での検討が重要であり、設計作業の中で利用できる「設計者CFD」という考え方も広がっています。
設計者CFDの一つであるFLOEFDはCAD環境と統合されたCFDツールであり、設計者が設計作業の中で熱流体解析を行える点が特徴です。 -
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3D解析結果の再利用
近年では、3D CFDの結果を縮退モデル(ROM:Reduced Order Model)として生成し、他の解析に活用する手法も広がっています。
ROMは、詳細な3D解析結果をもとに作成される簡易モデルであり、元の解析挙動を保ちながら高速に計算できることが特徴です。例えば、
・ 3D CFDで電子機器内部の熱流動を解析
・ その結果をROMとして生成
・ システムモデルに組み込んでシステム解析を実施
・ 筐体内部の空気流動の最適化
といった活用が可能になります。
さらに近年では、ROMをFMU(Functional Mock-up Unit)形式としてパッケージ化し、他のシミュレーション環境で利用することも可能になっています。
さらに近年では、ROMをFMU(Functional Mock-up Unit)形式としてパッケージ化し、他のシミュレーション環境で利用することも可能になっています。
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FLOEFDの役割
FLOEFDでは、3D CFDによる詳細解析に加えて、ROMの生成やFMU形式でのモデル出力にも対応しています。これにより、3D解析結果をシステムレベルのシミュレーションに組み込むなど、解析結果の再利用が可能になります。
また、FMUとして生成されたモデルを他の解析環境で利用することにより、システム解析と3D解析を組み合わせたシミュレーションも可能になります。
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まとめ
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CFDの高速化は依然として重要なテーマですが、近年ではそれに加えてCFDを設計プロセスの中でどう活用するかという視点が重要になっています。
特にエレクトロニクス分野では、設計者CFDによる早期検討と、1D解析との連携によるシステム評価が今後ますます重要になると考えられます。
CFDは単なる詳細解析ツールではなく、設計段階から活用できる設計ツールとして、その役割が広がりつつあります。弊社では解析設定のサポートからハードウェア、ソフトウェアのご提案から教育までトータルに支援できますので、課題に感じている事がございましたら何なりとお申し付けください。ご連絡お待ちしております。