目に見えない電磁波を可視化してみよう
~電磁界解析が支えるEMC対策とものづくり~
① 私たちの身の回りには電磁波があふれている
「電磁波」と聞くと、少し難しいもの、あるいは健康への影響を心配する方もいるかもしれません。
しかし実際には、私たちの生活は電磁波なしでは成り立たないと言っても過言ではありません。
例えば、スマートフォンで動画を見たり、Wi-Fiでインターネットに接続したり、Bluetoothイヤホンで音楽を聴いたりすることができるのは、すべて電磁波による無線通信のおかげです。

また、電子レンジはマイクロ波という種類の電磁波を利用して食品を温めています。
テレビやラジオの放送、GPSによる位置情報、ETCゲートでの通信、自動車のキーレスエントリーなども、電磁波を活用した技術です。
さらに近年では、自動車にも多くの電磁波技術が搭載されています。衝突防止を支援するミリ波レーダーやスマートキー、車載Wi-Fi、Bluetooth、カーナビのGPSなど、一台の車の中だけでもさまざまな周波数の電磁波が飛び交っています。
このように、電磁波は決して特別な存在ではなく、私たちの生活を支えるインフラの一つとなっています。しかし、電磁波には一つ大きな特徴があります。それは目で見ることができないということです。
もし目に見えれば、Wi-Fiの電波が部屋の中をどのように広がっているのか、スマートフォンからどの方向へ電波が出ているのか、一目で分かるでしょう。しかし実際には見えないため、問題が起きても原因を特定することが容易ではありません。
② 「見えない」を「見える」にすることで設計品質が向上する
電磁波は目に見えないため、製品開発では「思わぬところで問題が発生する」ことがあります。
例えば、ある電子機器が正常に動作していても、近くの回路やケーブルから発生した不要な電磁波(ノイズ)の影響を受けて誤動作するケースがあります。逆に、その製品自身が強い電磁波を放射し、周囲の機器へ悪影響を与えてしまうこともあります。
こうした電磁ノイズに関する設計課題を扱うのが**EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)**です。EMCとは、「他の機器へ不要な電磁波を放射しすぎず、外部からの電磁波に対しても十分な耐性を持つ性能」を意味します。
従来は試作品を製作し、実際にEMC試験を行って問題点を洗い出す方法が一般的でした。しかし、試験で問題が見つかると、部品配置や配線、シールド構造を変更して試作品を作り直す必要があり、開発期間やコストの増加につながります。
そこで近年では、製品を製作する前に電磁界解析を行い、電磁波の広がりやノイズの発生源を可視化する設計手法が広く利用されています。
解析では、アンテナからどのように電波が放射されるのか、基板上のどこに電流が集中しているか、ケーブルがアンテナのように振る舞っていないかなど、人の目では確認できない現象を色やベクトルで表現できます。

つまり、電磁界解析とは、「見えない電磁波を見える形に変える技術」です。
可視化によって問題の原因を事前に把握できるため、EMC対策だけでなく、アンテナ性能の向上や通信品質の改善、不要なノイズ低減など、製品全体の品質向上にも大きく貢献します。
③ 電磁界解析で「見えない」から「見える」へ
このような「目に見えない電磁波を可視化し、設計段階で問題を解決する」ための代表的な電磁界解析ソフトウェアが、弊社で取り扱っているダッソー・システムズのCST Studio Suiteです。
CST Studio Suiteは、電磁界解析に特化したシミュレーションソフトウェアであり、アンテナ設計やEMC/EMI対策、電子機器・電子基板のノイズ解析、コネクタやケーブルの信号品質評価、モーターやセンサーなどの電磁気解析まで、幅広い分野で活用されています。
最大の特長は、実際には目で確認できない電界や磁界の分布、電流の流れ、電波の放射状況などを三次元で可視化できることです。これにより、「どこからノイズが発生しているのか」「なぜ通信性能が低下しているのか」といった原因を解析結果から把握し、試作品を製作する前に設計の改善を検討できます。

また、製品開発の初期段階からシミュレーションを活用することで、試作回数やEMC試験の手戻りを削減でき、開発期間の短縮やコスト削減にもつながります。近年では、自動車、電子機器、通信機器、医療機器、航空宇宙分野など、電磁波を扱うさまざまな業界で導入が進んでいます。
電磁波は目に見えません。しかし、解析を用いて「見える化」することで、これまで経験や試行錯誤に頼っていた設計を、根拠に基づいて最適化できるようになります。製品の高性能化・高周波化が進む現在、電磁界解析はものづくりを支える重要な技術の一つとなっています。
見えない電磁波を『見える化』することは、これからのものづくりにおいて欠かせない設計プロセスの一つです。CST Studio Suiteは、その『見える化』を支える強力なソリューションです
弊社では、無料の体験セミナーも実施しています。
電磁波の「見える化」にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。